今日、ひとりのお父さんが、亡くなられました。
今日、ひとりのお父さんが、亡くなられました。
働き盛りの頃から、
大きさ発作や小さな脳梗塞を 何度も 繰り返され、
何度も入院して、繰り返すたびに重度となっていかれる。
奥様は 家庭介護を 御自宅で ギリギリまで、
頑張られました。
自分が壊れる!この怖さを感じて、奥様は、
『夫を施設に入れる』という大決心をして、
私たちの施設を選ばれ、お父さんは入居されました。
しばらく穏やかに、過ごされていました。
『夫を施設に入れた妻』として、
奥様は葛藤され自分を責めるような発言もありました。
けれど、お父さんが交わす職員との笑顔や、
ご本人の落ち着いていく表情、
何より夫のことを優しい気持ちを持って
思えるようになった自分。
その一つひとつを重ね積み上げ、
奥様は自分の決心を自分で受け容れられるようになりました。
そんな頃、
お父さんは、突然、大きな発作をおこして、
大きな病院に 救急車で行きました。
病院の先生の お話しを 充分聞いて 奥様は
「帰ります、施設に」
しっかり心を 決めました。
ここまで頑張ってきたお父さんを見届けるためには、
病院ではなく、介護だと真っ直ぐ判断しました。
施設に帰って来てくれた お父さんは、
だんだん食事が、細くなってきます。
「チューブは入れません」
奥様の意志は、すっきりしていました。
それでも、
70代前半という夫の「若さ」が 、
奥様の
「最期を穏やかに迎えるために、一切の延命処置はしない」
という決心に「何もしなくて本当に良いの」と、
迷いを呼び寄せました。
そして、
点滴を 選びました。
一日、500㎖で、三週間。
…痩せられました。
そして、逝かれました。
本当に、よかったのかなぁ。
奥様は、
「私の心が、しっかりするのに 必要な 時間を
お父さんが、私のために作ってくれたの」
お父さんは、点滴の力を借りて、
お母さんは、もう、大丈夫!と 思えた時に
ゆっくり逝かれました。
うーん。
本当に、よかったのかなぁ。
私たちは人体のみではなく、人生に関わる仕事です。
『絶対正しい』『絶対誤り』
そんな人生が無いように、介護にも絶対はありません。
これからも、
正直に、真っ直ぐ迷って行きたいと思います。