介護老人保健施設 その特徴のひとつに 医療行為の 支払いは、 施設の支払いとなる。

介護老人保健施設 (俗称で、ロウケン)
その特徴のひとつに、
入居者の介護報酬の上限を越えて、なお、
医療保険の適用とならない医療行為の 支払いは、
施設の支払いとなる。
これを家族に請求するのは、法律違反。
つまり、介護報酬以上の検査や薬の費用は、
施設が支払いなさい。ということです。
そうすれば、施設はむやみな薬や検査を
しなくなるでしょう。
という政策誘導の意図があります。
これは、介護保険制度創設前の
老人医療費無料化政策の悪影響として、
長期療養の老人病院が受けた社会的批判から
発案されました。
その一つが「社会的入院」であり、
もう一つが「薬漬け 検査漬け」です。
出来高制では老人医療はもたない、
という背景もあって、
介護保険施行前からスタートした
当時の老人保健施設のから続く仕組みの一つです。
この頃から、
高齢者への、過剰な薬や検査の処方は減少し、
「高齢者とクスリ」
という医師だけしか関われないと思われていた領域に、
「このジィちゃん、クスリ飲んでから、変だよね。
やめた方が、いいんじゃない。」
と、介護職が、発言できるようになりました。
そして、介護からの、
「クスリを抜いたら、お年寄りが、元気になった。」
という報告が、アチコチから聞かれるようになります。
「老い」は、病気では無いので、
クスリや検査だけに無闇に頼るのではなく、
あたり前の生活を そのお年寄りらしく支えることから、
元気を 取り戻そう!
という現場の取り組みが、実践されてきました。
時は流れて、療養型病床群廃止が言われるようになり、
いわゆる医療依存度の高い方が、
介護老人保健施設に、入居されるようになりました。
クスリをやめて、
チューブをやめて、何より、身体拘束をやめたら、
お年寄りは、
元気になります。
そして、最近では、神経難病の方、末期癌の方が、
在宅から、入居されるようになりました。
自宅で、こんなにも重度の方が、家族の思いと、
様々なサービスとの連携の中で、生活されていたんだ!
という事実に、敬意を持って、お受けします。
特に、ここまで自宅で、支えてこられてきたのだから、
理由は何であれ、
「施設に親を入れた」
ことが、敗北感と後悔にならないように、
今まで在宅で、関わっていたスタッフ皆さんと、
同じ気持ちで、連携を持って施設職員も、頑張ります。
ただ、残念なのは、
腎臓の病気で血液透析を受けている方の入居が、
困難です。
施設の医療費負担が、大き過ぎるからです。
介護老人福祉施設(特養)なら、受けられるのに…。
こんなカタチでロウケンの仕組みが足かせになるんだ。
と、思っていました。
それでも、入居された方で、
ALSの方が、
使っていた 麻薬を 使わなくて良くなった。
癌の人の、
痛み止めが、必要なくなった。
という、現場の取り組みを 目の当たりにすると、
少しは、役割りを果たせたかな…と、思います。
その報告を させて頂くと、
あなた達は、施設の費用負担を減らすために、
クスリを 使わないのだろ!
と、在宅の主治医から、言われることがあります。
若い人のことは、よくわからないけれど、
お年寄りの 落ち着いた最期には、
やっぱり、クスリは、要らない。
と、実感します。
実感だけだから、納得して頂けないんだろうな。
クスリを使わないのは、医療に対する怠慢だと、
心を込めて怒ってくる医師に、
なんと説明したら、よいのだろう。
ご本人に直接会って頂くしかなかろう。
施設も在宅医の現場として、認めて頂きたい。
よろしくお願いします。