2022年 大阪:オムツ外し学会《報告❶》


今年も参加させて頂きました。
今年の私の担当は、
第二会場の第1講と第2講の司会進行。そして、
第一会場の第4講の司会進行でした。
ということは、
第一会場の第3講→伊藤英樹さんに参加しなければと思った。
何故なら、各時間に分かれてセミナーが実施されると、
同じ会場で先に行われたセミナーに参加していた観客が、
そのままその会場に残って、
次のセミナーに参加する傾向があるので、
第3講に私は参加し、
その雰囲気・観客の気持ちなどを共有する。
この共有された体験を第4講開始のまくらにするためだ。
同じ時間に同じ話を聞いて同じく持った印象を
演者と観客がしっかり意識して、次の演目に入ると、
最初から一体感を持ってスタートできる。
これは、司会進行には重要である。
それで、私は第3講:井戸端げんき 伊藤英樹さんに参加した。
久しぶりの伊藤くんだった。
井戸端げんき開設以来の展開を伊藤くんが話す。
それは事業所・お年寄り・職員・管理者の伊藤くん
加えて、伊藤くんの家族の変遷を語ることでもあった。
事業の拡大、社会の不都合、息子の反抗期、妻との離婚、
職員との軋轢、管理者としての自分、娘の無視無言、
今は一人暮らしの生活で間に趣味のロックの話しを入れる。
それは伊藤くんの生活歴であった。
その自分を語ることで湧いてくる照れを
「オレ、何言ってんだろう」という台詞にして
混乱して行く自分を表現する。
こんなしんどい経緯(いきさつ)が自分を追い込んで、
「何が何だかわからないんだよ」
という大声発言を繰り返すうちに、
それが高齢者の不安を表す迫真の演技となる。
呻吟する声、くねる身体の動きから、
先に準備して着けていた紙パンツやパットを
ズボンの中からつかみ出し、投げ出す。
そこにはオシッコが出ていることを見せる。
殆どの観客が日常的に体験しているオムツ投げだが、
セミナーの講師がやると、そりゃビックリする。
ここで伊藤くんのお友達が登場して介護職の役を演る。
すると勢いがついて、伊藤くんは舞台の真ん中で
「生」失禁をする。本物の尿がズボンを汚す。
「臭いなオレの小便!」と大声。
ビックリが、ますます驚きになる。
そして、観客に背中を向けてズボンを脱ぐ。
お尻が出てくる。
昔、運動していて固かったはずの大臀筋が丸かった。
ここで不快を感じる観客は不愉快になる。
ビックリが驚きになった観客は心をワシ掴みにされる。
怒ったように不安を訴える伊藤ジイちゃんに、
その介護職は「だったら入れ歯を外して下さい」
と声かけする。
ジイちゃんの追い込まれていく内面と、
真面目な介護職の介護がすれ違って行く。
哀しくも可笑しい介護の現場を切り取っていた。
観客は、不快と驚きと込み上げる何かに気を取られ、
拍手も無く、第3講は終わる。
舞台の横に用意してあった毛布とともに伊藤くんは退場し、
観客だけが取り残されている。
これは、まずい。
このまま第4講を始めても、
観客の心は第3講:伊藤くんに持っていかれたままだ。
寺山修司ばりの感じで伊藤くんが、不快という強い印象で、
介護を示したあとをそのままにして、
「良い人」代表の松本くんや植さんが出てきて、
良い介護を語っても、気の抜けたサイダ−みたくなっちゃうぞ。
こりゃあ不味い。司会者:高口どうしよう。
ということで、
第4講は、第3講の咀嚼と嚥下から始まりました。
長くなりました。
続きは、また、明日、
よろしくお願い致します。