その昔、タケダさんというとても熱心な 施設長さんがいました。
その昔、
タケダさんというとても熱心な施設長さんがいました。
私が、お会いした時は、既にお年寄りの施設の責任者でした。
以前は、
障害のある方や子供の福祉の分野で働かれていたそうです。
「私は高齢者介護の世界に来て、驚きました」
と当時、私が勤務していた施設に立ち寄られた時に、
話してくれたことがあります。それは、
対人援助の現場では、生活行為を共に行うことが基本にある。
【一緒に食べる】【互いに排泄を気遣う】【入浴を共にする】
これらの生活行為を同じ時間・場所で行うことこそが、
社会に傷つき、社会に生きにくさを持った施設利用者が、
入居という本人が最も不納得な生活環境の中で自分の居場所を
共に見出すために必要な人間関係を作る。
だからね、
利用者さんと職員は、先ずは一緒にご飯を食べるところから、
関係作りが始まるんですよ。
最初は「関係を作ろう」なんて意識的なんだけど、
おいしい!スッキリした!ああ、気持ちイイ!なんて、
同時に体験していくと、
意識しなくても関係が豊かになっていく。
それが、私たちの仕事の基本だと思っていました。
それが、高齢者の分野では通用しないんですよ。
それは、不潔だって言うんですよ。驚きました。
休み時間にならないって言うんですよ。信じられますか。
「感染したら責任問題だ、労働基準法違反だ、訴える」
こんな感じですよ。
それでは、あなたはどんな介護がしたいのですかと問うと、
「お年寄りとコミュニケーションを取りたい」というんですよ。
なんでしょうかね、これは。
現場にかかる法律・制度と、職員のやりたい仕事、
何よりお年寄り一人ひとりが望まれる介護。
この三つが無理なく重なる為の知恵と工夫を
時間を忘れて、語り合いました。
タケダさんは、一つの答えを持っていました。
今までの集団処遇をやめて、
少ない人数で家庭的な雰囲気を大切にして、
馴染みの関係を作る。
そして、そこから地域に繋げていくユニットケアです。
その後の展開と活躍を遠くに見て、
すごいなぁと思っていました。
私は、相変わらず、忘れた頃にやってくるこの話題。
職員が感染したら責任問題ですからね!
休み時間が取れないなんて、法律違反です!
この話題が出るたびに、
以下を何度も問いかけ、考えて来ました。
基本となる学習を行なっているか。
新人をはじめ、職員誰でも実践可能な対策を取っているか。
法人、責任者、上司の方針を示し、
具体的な指示になっているか。
申し送りは、できているか。
業務の見直しは、繰り返し実施しているか。
職員同士の声かけの実際を確認しているのか。
その職員の承認して欲しい気持ちは誰が受けるのか。
以上は、一度出来上がったから、これでお終い!
ということはない。
時代と共に、今いる利用者と共に、働く職員と共に、
何度も繰り返していく。
いつか、皆さんと意見交換できると良いですね。