事業所内で管理している小口現金
小規模事業所の所長さんから、相談を受けている。
事業所内で管理している小口現金は
毎日、集計すれば良いのだけれど、
お金の出入りが殆どない週は、週の単位で確認していた。
そんなやり方で開設以来、数年間、問題はなかった。
ところが、時々、小口現金の残高金額が、
不足で合わなくなってきた。
それで小口現金の集計確認を毎日徹底した。
すると、ある職員が夜勤の日に限って数千円の単位で、
現金の不足があることがわかった。
その職員に「あなたが盗んだのですか?」と、
直接、聞くことは躊躇された。
それで、
全員の職員に小口現金が不足することを公表した。
加えて、心当たりのある人は、
情報を提供して欲しいので全員に個別面談をする。
と、伝えた。
その職員に自分から「盗みました」と言える機会を
作ったつもりだった。
面談結果、職員全員が誰も何も知らないと答えた。
その後しばらく、小口現金の集計に問題はなかった。
数ヶ月経ってまた、現金集計が合わなくなってきた。
あの職員の夜勤の時、状況は前と同じ。
今回は警察に相談し、以下のような指導・提案を受けた。
状況からその職員が盗んだことは間違いないでしょう。
しかし、状況だけでは逮捕出来ないので、
証拠を作る為に、小口現金を保管する金庫の前に、
捜査協力としてカメラを設置して下さい。
所長は職員には公表しないで、
提案通り警察から渡されたカメラを設置した。
数日して、その職員がまさに盗む行為が撮れていた。
「人が盗む時の顔を正面から初めて見ました」
その職員本人と本人の家族と所長さんと警察で、
カメラ映像を確認した。
本人は懲戒解雇となり、その先は警察の対応となった。
相談はここからです。
捜査協力として、証拠を取る為に設置したカメラですが、
このまま防犯目的で継続設置すべきでしょうか。
既に、職員全員は、カメラ映像が証拠となって、
今回の職員が逮捕されたことを知っています。
捜査目的で設置されたカメラを
無期限に目的も不明確となってしまったカメラを
職場内、生活空間に置き続けて良いのでしょうか。
私は今回のことから、所長としての管理業務の不備を
反省しました。
その反省はカメラを設置して終わり。
にしてはいけないと思っています。
人の暮らし、その私生活を守る仕事の責任者として、
やるべきことを整理したい。
しかし、私一人では自分の考えを確認できません。
介護を知っていてなお、私たちの事業所の部外者として、
協力して頂けませんか。
という内容です。
この相談をどのように受けるかを考えていたら、
ニュース画面が見えた。
ここも警察に相談している。
「動画解析などから暴行が発覚」
捜査のためのカメラで撮った動画かな。
一緒に働く職員が撮った動画かな。
この事件の後も、カメラも撮影も続くのかな。
嫌悪感をまず横に置いて、考えてみます。