夜になると 落ち着かない おじいさん。

夜になると 落ち着かない おじいさん。
みんなで いろいろ考えるけど やっぱり今夜も 落ち着かない。
そんな おじいさんに 私たちの 言葉は 届いているんだか。
届いているかどうかと言い出すと 不安になる。
『転んでほしくない』
『しっかりトイレして欲しい』
これは、おじいさんを思っての
間違いない介護の気持ちなので、言葉で繰り返し伝える。
シッカリ立ちましょう。ここを持って下さい。
あ、危ないですよ。トイレはこちらです。
ここに座って下さい。終わりましたか。
大丈夫ですか。
おじいさんは 全くの無視。
時に、声をかけている職員を払い除けようとする。
それに杖を使われたりすると、
職員はとても悲しい気持ちになる。
カワタくんは おじいさんに いろいろ言わない。
おじいさんの起きた気配で
なんとなくカワタくんも動き出す。
視線も 合わせてないのに
どちらが 先でなく 二人は トイレに行く。
おじいさんの ふらつく姿勢や 震える手の先を 支える。
正面に 座っても おじいさんに カワタくんは
見えているのかどうか。
聞く耳持たないと 人は 聞こえない。
きっと
見る目を持たないと 人は 見えない。
おじいさんには カワタくんが 見えているんだろうか。
とにかく 払い除けは しなかったね。
おじいさんは 一人で トイレに行ったつもりだろうか。
いつも こんな感じ?
いつも こんな感じです。
なんか すごいね。
何がですか?
上手く言えないけどさ。
カワタくんは、目立たないけど すごい介護職です。
こういう介護を ちゃんと 言葉にできる
君の 上司に なりたいと いつも思っている。